境界が弱い、境界が薄い。境界線が引けなくて困っている。HSP・HSC(ひといちばい敏感な人・子ども)の悩みとしてよく聞く話です。
他人の気持ちにも敏感なHSPは、人との境界が弱くなりがち。
HSPという言葉の生みの親・アーロン博士も、HSPには境界線とダウンタイムが大切と言っていますね。
カウンセリングでは境界の弱さをサポートして強化・回復するフラワーエッセンスを調合して対応することが多いです。が、今回はフラワーエッセンスにこだわらず!
繊細で敏感な人たちが悩んでいる境界の弱さとその対応策を、全般的にまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
「境界が弱い・境界線が薄い」とはどういうこと?
HSP・HSCは身の回りのいろいろなことに敏感です。
音や匂い等の環境にも繊細な感覚をもちますが、都会暮らしでは特に身の回りにいる他人に敏感に反応してしまうことで困っている人が多いようです。
他人と自分の間の境界が弱い、境界が薄い。と、主に人間関係で使われる言葉として「境界」という考え方があります。
HSPの敏感さは、周りの人の意識や感情も敏感に感じ取ります。
そして境界が弱っていると、他人と自分のことが混ざり合って区別がつきにくくなります。他人のネガティブな感情を、自分のことのように感じ取ってしまうのです。
これを「共感力が高い」というなら長所のようにも聞こえますね。でもこの場合、他人の感情に振り回されるわけですから、本人にとってかなりつらい状態です。
境界が弱いHSPはどう対処している?
境界が弱っているHSPは、その人自身にとって過度な刺激にさらされている状態にあります。
周りの人には大した刺激ではなくても、HSPにとっては大問題のことはあります。そして過度な刺激のダメージによってさらに境界が弱まってしまう、という悪循環が起こってしまいます。
例えば、他人の怒りの感情に触れて起こり得るのは……
- 他の誰かが怒られている声を聞くだけで辛くなる
- 相手が怒っているのが自分のせいだと感じる
- 自分もイライラしてきて怒鳴って喧嘩になってしまう
反応はそれぞれですが、とにかく人の怒りが必要以上に自分に入り込んでくるのです。
境界が弱いHSPが身を守っている対処方法
他人との境界が弱ってしまったHSPは、自分を守るために、例えばこんな風に対処しています。
境界が弱いHSPとはこんな感じ。
- 人の感情がネガティブにならないように、周りに気を遣う
- 自分の感情をはっきりさせるために、頑なになる
- 他人から影響を受けないために、引きこもる
特に子供であるHSCが癇癪持ちでわがままに見えるのは、この中の2番目の反応。
境界の弱さを抱えながら自分を守ろうとしている防御反応だと思います。
「繊細な子」というとじっと我慢する子を想像しますが、おとなしいHSCばかりではないのです。
周りの感情に順応的で疲れてしまう子、強く拒否感をあらわにして自分を守ろうとする子、自分の中に引きこもってやり過ごそうとする子。5人に1人のHSCの反応は様々です。
一方で社会の中にいるHSPは、他人のネガティブ感情を引き起こさないように、承認されるようにふるまう状況が多いかなと思います。
境界が強く健康なHSPは、疲れ・トラブル・孤独から解放される
HSC/HSPが敏感な性質であることは、基本的に生涯変わりません。
ただし、より強い境界を持てば他人の感情から影響を受けにくくすることができます。
気を遣いすぎて疲れたり、頑なになってトラブルを起こしたり、ひきこもって孤独になったりする必要はないのです。
HSP/HSCにとっての理想は、他人は他人、自分は自分、と線を引けること。
線を引きつつも敏感さは残ると、「周りの状況によく気が付く」ことが美点として現れてきますよね。
それが境界線が引けるHSPの健康な状態です。
HSPのための境界の作り方・対策は?
では境界を強くするにはどうしたらいいのか?
これはある程度自分で工夫していく必要があり、一足飛びにできるものではないかもしれません。
慣れるまで、少しずつ対処。弱まってしまった境界を徐々に強く。
今回ご紹介する対策は3つ。
物理的・言語的・イメージ的な境界作りです。
それから最後に、エネルギー的な境界作り。フラワーエッセンスなどの植物療法もご紹介しますね。
1)物理的に離れることで、境界を意識する
境界として一番わかりやすいのは、物理的な境界。つまり離れるとか遮断するなどです。
仕事や人付き合いではなかなか難しいことですが、ネガティブな状況や人から可能な限り離れることを選択肢として意識するだけでも変わってきます。
例えば、職場で気疲れしているなら、その状況が自分にダメージを与えていることを意識。人の期待に応えなくちゃ、困っている人をサポートしなくちゃと改善のために動くのではなく、どんな形でも回避する努力をする。
一見冷たいようですが、自分を立て直すために一旦逃げる勇気も時には必要。
それが小さな一歩になります。
耳栓などで物理的に音を小さくする、放課後や就業後は関わらないと決めて時間を短くする、など少しでも離れることができるといいと思います。
2)言葉を使って、言語的に境界線を引く
もう一つの方法は、言葉を使うこと。
自分が感じていること・相手が感じているだろうことを言葉にすることで、巻き込まれている感情から一歩距離を取っていきます。
自分の感覚や思考を言葉にして距離を取る
「~とあの人は思っているみたい」
「~だと(私は)思っている」
と、感じたことや考えたことを言葉にして、いったん外から眺めるのが基本的なやり方です。
「~、とあの人は言ってる」
「~、だって」
と相手の言葉をただオウム返しにする(心の声です)だけでもOK。
「~だって。ウケル」
と語尾にウケルをつけて真剣に取り合わないギャル思考をインストールするのもよいそうですよ。
自分の中にインナーギャルを育てるという方法を聞いた時は笑ってしまいましたが、確かに楽しく境界を作れると思います。
自分への声掛け・励ましでもOK
感情や思考を言葉にするのが難しかったら、何か辛いなと思った時に
「大丈夫、大丈夫」
「気にしない、気にしない」
と自分に対して言葉かけをするのもありです。
場や他人と一体化してしまう自分から、一歩身を引いた言葉を発する感覚です。
他人との境界であり、自分の混乱との境界と考えてもいいですね。
3)イメージ的に・エネルギー的に境界を作る
もう一つ有効なのは、自分を守る境界を視覚的にイメージすることです。
自分だけの空間、パーソナルスペースを守る・保護するイメージを持つとも言えます。
自分を守ってくれる境界を自由に思い描く
境界のイメージはどんなもの良いのですが、刺激を弾き返す硬い盾よりは柔らげてくれる膜的なものが心地よいと思います。
シャボン玉に包まれているとか、光の繭やシャワー・虹など自分の気分の良くなるイメージが見つかるといいですね。
もしくは、何か大きなものが守ってくれているというイメージでも安心感が得られそう。となりのトトロ(大)やベイマックスみたいなものはどうでしょう。
自分を守る境界を思い出すためのアイテムを持つ
静かな場では心地よい境界をイメージできたとしても、職場や学校等の刺激的な場でいつもイメージを思い出すのはハードルが高い時もありますね。
そんなときには、境界を思い出すきっかけになるアイテムを何か持っていると心強いです。
子どもたちなら、何かお気に入りのグッズ。HSCの我が子の場合、先生の配慮でふわふわとした動物のぬいぐるみを教室に置いていただき、時々抱きしめて安定していました。
お守りやパワーストーンが好きな人なら、そこから発光して境界が生まれるような想像ができるかもしれません。
趣味のアイテム、思い出の写真、等なんでもよいはず。自分を守る境界と紐づけられるアイテムを探してみてください。
アロマやフラワーエッセンス等、植物の力を借りることも
また、エッセンシャルオイルで作るアロマスプレーを持ち歩けると、境界を作り直したいと思った時にかなり助けになります。
数回プッシュすると、香りが漂う空間が生まれます。この空間を自分のものにすると考えるのです。
心地よい香り空間が自分を守るというのは、イメージが苦手な人でも取り組みやすいと思います。
そしてフラワーエッセンスも大きなサポートになります。
例えば、NZフラワーエッセンスの中でも浄化保護力の強いシダのエッセンス7種。飲用によって、内側から守られている感覚が実感できるという人が多いです。
フラワーエッセンスは飲用水に落として摂取することが基本ですが、アロマと同じように空間にスプレーすることもできます。自分を守る空間イメージと合わせて空気を変化させます。
自然、特に野生植物の力は、人の多い現代的な環境に疲れがちなHSPのサポートに向いていると手ごたえを感じています。
境界が作れるようになるとHSPはどう変わる?
さて、いろいろと工夫・努力をして境界が強くなったHSPはどう変わっていくでしょう?
[box05 title=”境界が強くなったHSP”]
- 人の感情を保つ気遣いが減り、疲れにくくなる
- 自分を守る頑なさが薄れ、穏やかな自己主張ができる・うまくノーと言える
- 身を守るための孤立をやめ、信頼できる相手にオープンになれる
[/box05]
といろいろありますが、実感としてはまず「疲れにくくなる」が最初の感覚だと思います。
境界が弱ったHSPは、環境に適応しようと頑張って疲れがちです。これが変化すると
- 日常の暮らしの中で傷つかない。
- びくびくしなくていい、自分は自分だ、と心から感じられる。
- ノーと言える。穏やかなHSPらしい自己主張ができる。
生来の敏感さは消えないが、過敏ではない。そうなりたいですよね。
まとめ
- HSPは他人に敏感で境界が弱くなりがち
- 物理的、言語的、イメージ的に境界を作ることが大切。少しずつ境界を強くする
- 境界が強くなると以前より疲れにくく、落ち着いて自己主張もしやすくなる
今回はこんなことをお伝えしてみました。
なお、境界が薄い・弱いままで、いきなり「ノーと言える」自分を目指してしまうことはHSPにとって更なる疲れを呼びやすいと思います。
まず内側に向かって自分を整えて境界を強化してから、外側に働きかけていく。
そういう順番がお勧めです。
次回は、HSPが意識したいことの2つ目、ダウンタイムについてまとめていきたいと思います。
- 境界線を引いて、ダウンタイムを取る。
- 自分を保護して、回復させる。
その繰り返しで、繊細なままで元気でいられるHSP/HSCになれるはずです!
セルフケアをしつつ、もう少しサポートが必要なときはフラワーエッセンスも。境界を作るためのフラワーエッセンスについてはこちらの記事で。
https://www.lifeathome.jp/archives/821
境界線について、詳しくはこちらでお話ししています↓