敏感・繊細な子HSCの子育てについてのご相談で頂くのが、こういうご質問です。
無理をさせたくないが、ずるずると学校に行けなくなるのも心配。休ませたほうがいいタイミングは?
HSCの特徴を知ったからこその葛藤なんです。
この子は生まれつき繊細な子、だから学校に行くことでとても疲れてしまうことがある。
と親が(特に最も身近に関わる母親が)理解していることは、とにかく子どもにとって安心安全の土台になります。
そんな知識と理解を兼ね備えた親である自分を、まずはほめてくださいね。
よくやれています。賢明な判断をしています。
無理をしなくて大丈夫だよ、と見守ってもらった子の中にはちゃんと安心感が育ちます。
そのうえで、完全不登校ではなくて「行ったり行けなかったりする」「特に朝がつらそう」という場合にはとても悩みますよね。
ひとりひとりの状態で「今日は休んだほうがいい」などもちろん違うのですが、判断基準のヒントをシェアします。
学校に行き渋る朝でも頑張って行くことをサポートするとき
行けるものなら行けるように、親が【登校サポート】の方向で支援していきたいのが親ごころ。
でも「無理強いさせてはいけないのでは?」と悩んでいらっしゃる話もうかがいます。
新しい環境でのストレスになじみつつあるときや、ストレスがありながらも楽しみもあるときは、背中を押す系のサポートでいいのではないでしょうか。
新しい環境や状況でのストレスが強いとき
進級・進学のあと、まだ慣れていない時期
HSP/HSCは「新しい刺激」から受けるストレスがとても大きいです。環境に慣れていないゆえのストレスであれば、少しずつ通い続けることでの改善の見込みがあります。
毎日少しの時間でも登校して教室で過ごすうちに、だんだんと環境に体が慣れていくことを祈りつつ、遅刻・早退でもよいので通えるように支援してもいい時期です。
一般的に4-5月には慣れる気がしますが、もっと長くかかることもあります。1学期はずっと難しかったが夏休みに休んで、9月頃から徐々に慣れ始めて…ということもあるので「少しずつ馴染んでいる」かどうかを見守っていきましょう。
朝は行くのを嫌がるが、帰ってくると「楽しかった」という時
これもまた「慣れていないことによるストレス」である可能性があります。
行く前には不安があるし、学校で疲れる刺激もあるけれど、帰ってくると友達と過ごした楽しい刺激や通えたという満足感もあり、ストレスレベルは危険なほどではない様子です。
帰宅後はできるだけのんびり好きなことをして休息・回復時間をとって、翌日に備えます。
それでも翌日また「行きたくない」となるときには、その行きたくない気持ちに寄り添いながら「行ってみる」と言えるかどうか見守ってよさそうです。
行くか休むか、無理をさせないほうがいいとき
朝だけ嫌がるというわけではなく、学校に行くこと自体がかなりストレスになっているときには、【1日休む】【しばらく休む】の選択も視野に入ってくると思います。
「登校によるダメージから1日では回復しきれていない」という状態だと思うので、学校に無理して行ってどんどんダメージが蓄積するのは避けたいところです。
「新しい環境になじめない」とは別の要因があるとき
学校側からは「特に問題がない」と言われるのに、本人は「つらい」という時
新しい環境が落ち着いてきて、先生から見ても問題がなさそうなのに、子どもが学校から帰ってくると疲れ切っていたり朝も行きたがらなくなってくる場合。
教師との相性やクラスの状況が合わない、という別の課題が大きいのかもしれません。
「どうして行きたくないの?」と聞いてみてもうまく説明できない疲れであるのが、HSP・HSCの登校渋りの特徴です。2-3日お休みすることで回復することもありうるので「一度いけなくなるともういけないのでは」と心配しすぎずに【休んで回復】の判断もありかと思います。
時々お休みしながらも1年間通えた、そしてクラス替えなどで環境が変わったら大丈夫になった、という場合もあります。
登校できない日がずるずると増えたり、学校まで行ったが入れず帰ってきてしまうとき
登校渋りから状態が変わってきて、行くことへの不安感が高まってしまっている状態です。この状態だともう休む一択になってくると思います。
思い切って少しお休み期間が長くなることも覚悟して、休んでみるのもありだと思います。
ここで急にお父さんが出てきて「頑張って行きなさい」と指導がはじまったりすると、家もストレスになってしまいます。できれば、夫婦間・家庭内で情報共有をして休みが必要だということで合意したいところです。
学校に行けないダメな子というレッテルを自分自身に貼らないように、「苦手なことを頑張ったけれど疲れてしまっただけ」という目で回復待ちをしていきましょう。
突然まったくいけなくなった時
行き渋りがなくて、ある日突然「起きられない」「学校に行けない」となる場合もあります。これは親に相談できなかっただけで、子ども本人の中では相当にダメージが溜まりきったときであることが多いです。
理由を聞くより何よりも「すごく疲れているみたいだから休もうね」と苦しさをいたわってあげられるとホッとして休めると思います。
学校に行かなくてはいけない、と大人が思う以上に強く強く思っているのが子どもたちです。行かなくてはいけないんだ、と自分を追い込まないでいいようにケアしてあげるのが家庭の役割だと思います。
(とはいえ、私自身「ある日突然不登校」の時は、理由探しも何とか行かせようとするのも全部やった過去があります。不登校初心者の母は、なかなか大変です)
ご相談や実体験を踏まえて、いくつかの状況でのサポートの仕方についてお伝えしてみました。
新しい環境に慣れるのに時間がかかっているのか
今の環境が合わずに、時々休んで回復する必要があるのか
本人が行こうと思っているのかどうか
など、見ていくポイントはいくつかあります。
大事なことは「エネルギー回復のために休む時は休む。それは必要なこと」と親も子も考えられることかなと思います。
完全不登校になると、「休もうかどうしようか」にエネルギーを使わなくなるので逆に元気になったりしますが、行き渋り時期ならではの難しさってありますね。
がんばりすぎてダメージを溜め込みすぎないように、ゆっくり取り組んでまいりましょう。