【学び】子育て講演会で学ぶ「潜在的強みを開花する2つの方法」

HSP/HSC

以前から好きな著者さんである、三砂ちづるさんの子育て講演会を聴いてきました。

今回は、内田樹さんとの対談・共著であるということで、お二人で台本なしの2時間の対談スタイル。

「子育ての話……???」という方向に話が飛んだりしながらも、子ども・夫婦・人生へと広がっていくとてもとても良い講演でした。

特に興味深かったのが、「潜在的な力を開花する2つの方法」のお話。
スピード感ある対話の中で、私が学んだことをシェアしてみます。

西洋のアイデンティティと東洋の我執

潜在力を開花していく生き方について、アメリカと東アジアではまるで考え方が違うというお話でした。

まず、アメリカ文化の文脈。

  • 人は自分のアイデンティティを発見・確立すれば爆発的な潜在力を開花させることができる、と考えられている。
  • 多民族国家の中で、ルーツに基づくアイデンティとつながることで生まれる強さなど。
  • 例えばMARVELやスターウォーズのヒーローたち。彼らは「自分はヒーローだ」と認識できた瞬間から最強。修業はしないし、その後自我がぶれることもない。

一方、我々東アジアの文脈。

  • 自分というものは修業や経験を通じて日に日に変わっていくものである、と考える。確固とした自我というものは【我執】であり手放すべきもの。
  • 人はある状況に入ったときにスイッチが入り(お母さんスイッチみたいな話)、それまで知らなかった潜在力が開花してできなかったはずのことができるようになる。

ここで子育ての話も最後のほうに入りました。

「子育てできるか不安」という人に、三砂先生はこんな風にアドバイスするのです。

子どもを産み育てるあなたは、今ここのあなたではない。もう別の人になっている。

だから、今のあなたには子育てができないからと言って、心配することはない

東アジア的な文脈ですね。私たちは日々変わっていくことができる。今の自分にできないからと憂うことはなく、いつだってまだ見ぬ自分が花開いていく。

3人育ててきた私自身の経験を振り返って、「本当にそれ」と思いながら聴いていました。

子どもを産んだ私は、出産前の私とは違う。お母さんになるとなぜかできてしまうことがある。ある種の潜在力が開花していく。

でもこういう母性依存に聞こえる話はいまどき難しいのだ、と三砂先生は苦笑してらしたけど。

それはそうなんですよね。母になるとできることはあるが、それを外から押し付けてはくれるなと私も思います。(特に現代の生活は自然から遠ざかり、母親スイッチが入りにくくなっています)

さらに、男手で娘さんを育てた内田先生は「僕も離婚後『お母さんになろう』とスイッチが入ったら子どものことがすごく感知できるようになった」との話をされていました。

身体的な母性にとどまらない、【母的な意識】は男でも持てるものなのかという話も面白く、バランスよい見方が面白かったです。

(ちなみに三砂先生は「男女には身体性に基づくはっきりとした違いがある(意識の男性性女性性グラデーションはあるが)」と考えていらっしゃる。お二人がすべてにおいて合意はしていない、しかし対立してもいないという対話が心地よかったです)

HSPというアイデンティティについて考える

今回の講演で、子育て的にも感じることがいろいろありましたが、何より西洋と東洋、両方の文脈に触れられる日本という国が素晴らしいなと感じました。

両方のエッセンスをうまく使いこなせるのが日本人なのでは??というか。

講演会後、HSPという言葉もアメリカ発で【生まれ持ったアイデンティティ】の話だなと思って考えたのです。

「私は生まれつき人より敏感なのである」「弱点はあるが、感受性の高さは美点でもある」という自己認識ができることで、潜在力を発揮できるという考えはとてもしっくりきます。

それはきっととてもアメリカンな方向。(HSP自体、アメリカの心理学から出てきた概念ですからね)

でも一方で、「HSPだからこうである」というところに自分を限定させず、そんなことを忘れて生きていける社会になるべきだという人もいます。

HSPというくくりに閉じこもらず、それも一つの【タグ】みたいなものとして【女】であり【母】であり【HSP】でもありほかにもいろいろありながら変わっていく自分を生きる、という方向性です。

その中には【強度HSP】だと思っていたけれど今は繊細性が高いとは思わなくなった、という自己認識の変化も含まれるだろうし、繊細とは言え一部は鈍感なんですよというグラデーションもある。

アイデンティティによる強さという恩恵で「繊細さん」たちが潜在力を開花させつつ、それだけが強さの源ではないと知り、繊細さを鎧にせず柔軟に変わっていくことも力にする。

そんな生き方ができたらよいなと思ったりしました。

まとめ

私の見解のほうが長くなってしまいましたが、とても面白い講演会でしたよ。まとめると、

人間が潜在力を開花させるのに、ふたつの大きな方向性がある

  1. 「自分は何者か」という確固たるアイデンティティを見つけ、そのIDならではの力を発揮すること
  2. 日々の経験や修行・状況変化を通じて、知らなかった自分の側面が次々と現れること

私自身は、「この両方を使うことを目指せる日本の文化環境は、柔軟性がありなかなかいいな」、と感じた夜でした。

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